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09年3月と4月の前年同月比はともにマイナス0・一パーセントに低下過度の円高の恐れ日銀が伝統的金融政策にこだわるあまり、長期国債買い入れに消極的で、絶対にデフレを阻止するという意思がないならば、英米両国が今後一層の量的緩和を進めることおよび欧州中央銀行も09年6月に量的緩和に踏み切ったことを考慮すると、一層の円高が進むと予想される。
実際にFRBの長期国債購入の発表を受けて円は一ドル95円台まで急騰した。
FRBが重視しているコア・インフレ率(前年同月比)でみると、日本は09年に入って4月までマイナス(マイナス0・一パーセントからマイナス0・4パーセント)が続いている。
以上から、日本は09年4月現在すでに、「インフレ率は経済成長を促し、物価の安定を維持する上で、低すぎる水準に低下している」と考えるべきであろう。
しかし、日銀はそうは考えていない。
S総裁は「生鮮食品を除く消費者物価の前年比は2009年度半ばにかけて下落幅が拡大していく可能性が高いとみています。
その後、石油製品価格などの影響が薄れていくため、中長期的なインフレ予想が安定的に推移するとの想定のもとで、下落幅は縮小していくと考えられます」(2009年4月30日総裁記者会見)と述べ、デフレを懸念している様子はうかがえない。
した。
あとで述べるように、こうした一ドル100円台前半からそれ以下の円高が続けば、日本経済はデフレに陥り、輸出産業の収益性は大幅に低下し、日本経済の牽引車である輸出産業の生産と輸出の減少が続くと危倶される。
非伝統的金融政策とは右では、非伝統的金融政策の例として、長期国債の大量購入やCP、社債などの民間が発行する証券の購入をあげたが、非伝統的金融政策とは何かを明確に定義しなかった。
非伝統的金融政策に関して経済学界や中央銀行に明確な定義があるわけではないが、次のように定義するのが有益であろう。
これまで、各国の中央銀行が通常用いてきた金融政策の手段は、満期が1年未満の短期国債(政府短期証券と呼ばれる証券を含む)や、同じく満期が1年未満の銀行が割り引いた商業手形のうち中央銀行が適格と認めた手形であった。
これらの証券は債務不履行リスク(信用リスクともいう)がなく、満期が短期であるため、満期途中に売買する時の市場価格の変化(これを市場リスクという)も無視できる程度のものである。
そこで、中央銀行がこれらの信用リスクも市場リスクもない証券を銀行やディーラー(日本の場合、短資会社)と売買することを、伝統的金融政策と定義しよう。
この状況で信用リスクと市場リスクを取れるのは、政府と中央銀行しかない。
それは、それに対して、長期国債には信用リスクはほとんどないと考えられるが(ただし、1998年にロシア政府が国債の債務不履行を引き起こした例がある)、中央銀行が満期前に売却する場合には市場価格の低下により損失を被る可能性がある。
したがって、満期までの残存期間が長い長期国債ほど市場リスクは大きくなる。
今回の経済危機でFRBが購入している政府支援機関債や同機関が発行する住宅ローン担保証券の信用リスクは、長期国債のそれよりも大きく、市場リスクも存在する。
CPや社債になると、さらに信用リスクは大きくなり、満期までの残存期間が長くなるにつれて、市場リスクも大きくなる。
そこで、ここでは、中央銀行がこのような信用リスクや市場リスクのある証券を売買することを非伝統的金融政策と定義しよう。
今回のような経済危機に直面すると、民間の経済主体の信用リスクや市場リスクを負担する能力は著しく低下する。
そのため、長期国債(特に、満期が10年以上といった長期物)、住宅ローン担保証券、CP、社債などの買い手がいなくなる。
銀行も信用リスクに過敏になり、貸し出しを信用リスクの小さな借り手に限定するようになる。
これを信用収政府は課税権を持っているからであり、中央銀行は通貨発行権を持っているからである。
例えば、政府が民間銀行の貸し出しに当たって債務保証(借り手が債務不履行を起こした時には、政府が借り手に代わって貸し手に返済することを保証すること)するのはその一例である。
日銀が損失を被ると日銀券の信認がなくなるか?中央銀行は中央銀行券(日本では、日銀券)を発行して、信用リスクや市場リスクのある証券を購入することができる。
しかし、日銀は、信用リスクや市場リスクの顕在化による「損失発生により日本銀行の財務の健全性が損なわれると、通貨(日銀券)と金融政策への信認が損なわれる恐れが高くなる」(「企業金融に係る金融商品の買入について」2009年一月22日)と述べている。
S総裁も中央銀行の「財務の健全性に疑念が生じた場合は通貨への信認が失われます。
もしロスが発生し、例えば中央銀行が財務的に政府に依存せざるを得ないと人々が思うと、金融政策の運営それ自体に対する信認が揺らぐ可能性や信認が低下する可能性があります」(2008年12月19日総裁記者会見)と述べている。
日銀が長期国債やCPや社債の買い入れによって損失を被り、財務の健全性が損なわれるとは、日銀の自己資本が減少することを意味する。
日銀券を使っている人が日銀の自己資本比率を見ながら、日銀券の信認の程度を測っているとは到底思えない。
したがって、右の日銀の考え方は妥当とは思えない。
しかし、ここでは、仮にそうだとしてみよう。
日銀券に対する信認を失った人はどうするのであろうか。
日銀券を受け取るそばから、株式や外貨に換えるのであろうか。
そうなれば、株価が上がり、円安になるから、消費や投資や輸出が増えて、景気回復には良い薬になる。
確かに、民間銀行の自己資本比率が一定以下に低下した場合は、預金の安全性に疑念が生じ、その銀行の信認は失われる。
それは預金者が、民間銀行が供給した預金の現金化(すなわち、預金を日銀券に換えること)の可能性を疑うようになるからである。
それでは、民間銀行の自己資本比率の低下によって、預金の信認が失われるということと同じことが、日銀の自己資本比率の低下にも当てはまるであろうか。
日銀の場合、民間の預金に対応するものは日銀券(つまり、通貨)である。
S総裁や日銀は、民間銀行の自己資本比率が一定以下に低下すると、預金の信認が失われるのと同じように、日銀の自己資本比率が一定以下に低下すると、日銀券の信認も失われるという。
日本の新聞もこの日銀の主張を鵜呑みにして、その理由に触れることなく、「日銀が損失を出して、自己資本が減少すれば、日銀券の信認が失われる」と繰り返し報道していし、株式や外貨から得る利益は、結局、信認のない日銀券で受け取るしかない。
したがって、株式や外貨が日本における交換手段にならない限り、信認のない日銀券を株式や外貨に換えても無駄である。
信認のない日銀券を金に換えることも同様に無駄である。
それでは、日銀券を受け取るそばから、モノと交換するのはどうか。
それなら、デフレを脱却できるので、景気回復にとって望ましいし、その場合は、依然として、日銀券が交換手段として使われる。
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